1:潜入

いつもの洞窟に入ってから10分くらいしてあるのが、例の扉でなのである。
「やっぱり駄目か。全然びくともしねぇ。諦めるしか無いかな。」
と諦めかけた瞬間、物凄い地響きが轟き、激しい揺れがこの俺に襲い掛かってきた。あまりにも突然なことだった為、倒れてしまった。
「いてて。何だったんだ、今のは?」
するといきなり、後ろから爆音を轟かせて扉が開き始めたのだ。
「なんだ?」
今まで、一度も開いたことなんかなかった扉が簡単に開いたのだ。
「こんな事って、あるのかよ?」
不思議に思っていても、しょうがない。開いているのだから、入るしかないでしょ、ということで入ることにした。あまりにも安易な考えで。入ってすぐにあった物が、また扉。他には何かのスイッチみたいな物。試しに、そのスイッチみたいな物の、レバーを下げた。すると施設中の照明なんかが作動し始めた。すると同時に扉も開き始めた。
「まぶっ!」
突然明るくなったために目がおいついてこず、一瞬視界を奪われたが、徐々にはっきりとしてきて最初にうつったものは、巨大な空間だった。
「なんだココは?」
そこは、周りがコンクリート打ちっぱなしで、一部が白を基調とした、タイル張りという感じの所で、いかにも危険そうな事をしていそうな巨大な実験室とおぼしき場所だった。
「ここで何していたんだ?これはいくらなんでもデカすぎだろ。」
また、愚痴を言いつつも目だけがうろうろしていた。周りを見渡し、何か無いかと探していると、上へと続く階段を見つけた。
「この先に、何か無いかな?」
と階段を登りはじめた俺だが、この時は何も考えずに進んでいた。その結果、俺は見てはいけなかった物を見てしまった。それこそ、自分の運命をとんでもない方向へと導いてしまったのだ。
そんなことも知らずに。ただ…。
登り始めてから、かれこれ15分ぐらいは登っている。というよりも、登ったり、降ったり、
「何なんだこの施設は。どんだけ上下すりゃあいいんだ?」
そんなこんだで、やっとの事で、階段を登ったり降ったりした、一本道の通路に入って、初めての実験管理室という、扉が見えた。
「やっとかよ。長すぎだよ。いったいこんな構造にして何の利益があるんだ」
長かった。時計を見たら、20分も歩いている。
「こんだけ歩かせるんだから、それなりの物だろな…。多分。こういう場合は、よく何にもありませんでしたなんて言うオチが付もんだもんなぁ。」
そーと、ドアノブに手をかけた。まるで、悪い事した子供が、親の部屋に入る時のように。恐る恐る入って見ると、中は巨大モニターに、ずらりと並んだ機械、それは、宇宙管制センターと見間違う程である。
「何だココは。本当に、何の施設何だ?意味が分からなくなってきた。」
一人で驚きの声を上げる俺。虚し過ぎる。気晴らしにと思って、機械をいじってみた。
「これかな?」
適当にその場のスイッチを押してみた。「ピッ」と、音がして電源がついた。システム起動中と、表示された後、ログイン画面もなくデスクトップが、表示された。そこで俺は、この施設について調べる事にした。いろいろ調べていたら、政府の機密文章が出てきた。
「プロテクトも何もかかっていないだよ。」]
とんでもない所だ。監視しているようでも無いし、大丈夫なのかよ。とつくづく呆れる。そう呆れていると、突然、警報が鳴り始めた。
「危険 危険 接近物あり。待避せよ。」
「えっ!?」
そんないきなり言われても。そんなことを考えていると、爆音を轟かせ、何かが入ってきたみたいだ。そして爆音が、聞こえたと同時に、センターモニターになにかが映りはじめた。そこにうつったものは、現実に存在しないものだった。
「ドラゴン!?」
それは紛れないものだった。鱗は青く、体長は10メートル程。俺は、画面越しからそいつを見ていたが、いきなり声が、どこからともなく聞こえてくる。
「人間か。」
「誰だ!どこにいる。」
「どこって?お前がさっきから見ているだろ。"何なんだコイツ"はっていう顔して。」
「まあ、お前でもいいっか。それにまだ子供だし。」
「誰が子供だ。俺は、高校2年だ。」
「ふん。口の減らない奴だ。」
「大体、何なんだよ。俺でいいって?」
「ただの復讐さ。人間どもに、しらしめす為の。でもその前に、手始めに貴様からだ。」
「はあ?な…」
言いかけたら、そいつの目を直視してしまった。その直後、俺は気を失ってしまった。それから何時過ぎただろうか。気づいた時には、何ともなかった。その時には、すでに奴は、いなかった。
「そういえば。」
と、さっき見ようとしていたものを見てみた。俺は、愕然とした。その内容は、ドラゴンの研究だった。そして、その研究をする所が、ココだった。しかし、それ以上の事は、データが壊れているため、見ることは、できなかった。仕方なくこの施設を後にした。だが、これはただの前触れでしかなかったのだ。この後、大きな変化を迎えることとなるのだが。



Copyright (C) shibatura 2010-2011 All rights reserved