5:新たな出会い
出会いとは、あまりにも突然やって来る。俺達もそういう出会いだった。
「さあ、始めるぞ。」
調査が開始された。まずは、落下地点へと向かう。
「これは…なんだ?」
とヤシチが何か青い板片を見つけた。
「何でしょうね?硬いし、何かの…と言っても、それにしては、陶器っぽくないしなぁ。何でしょうね、隊長?」
「これ?これは…鱗かな?多分、いや、たしかに鱗だ。間違いない。」
「どうしてですか?私の計算上、セラミック辺りだと思いますが。では、何の鱗何ですかね?」
「ドラゴンのやつ。」
「これがですか?」
「そうだ。多分、昔、政府が、たまたま飛来した、未確認生物を確保したらしい。そしてこれが、そいつの鱗。」
すかさず、ヤシチが
「では、本部のほうに途中報告しておきますか?」
「さすが、ヤシチ。落下物は、例のドラゴンだと報告しておけばいいから。後、文句は無しとも、連絡しておいて。」
「わかりました。」
そこにレイナが話しかけてきた。
「隊長さん。これからどうするおつもり何ですか?生き物じゃ動いてしまうんだし、それとも、行方をまだ、調べるのですか?」
「まぁね。でも、今まで実験等で、いろいろな仕打ちも受けている可能性もあるし、それから考えると、もしかしたら、復讐や何やこうだで、何を仕出かすか、わからないし。もしかしたらすでに、始まっているかもな。」
その頃、洞窟の入口では、竜崎が外を眺めていた。すると、向こうからやって来るものがあることに気がついた。
「いやぁ、ここかぁ。何にも無いな。」
"わぁ、誰かやてきたよ。しかも知らない人達だし。隠れなきゃって、隠れる場所ないし。"
そんなことを思っているうちに、ついに見られてしまった。
"ヤバ。"
しかし、相手側は何事もなかったように、俺のよこを通り過ぎて行った。特に先頭を行く人なんて、全然見向きせず、行ってしまった。
"何だったんだ今の人。"
それから、続いてやって来たのが、あいつだった。
「お待たせ、竜崎ちゃ〜ん♪」
"うわぁ、なんか来たよ。やな奴が。"
「あの、一つ聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「なんです。」
「先程、人来ませんでしたか?」
「それなら、さっき…。」
「通りましたが、なんかご用でしたか?」
と、突然誰かが、話しに突っ込んできた。それが、竜崎と新葉の出会いであった。
「いや、なんでもないですけど。」
「そう。あっ、一つ聞きたいことあるけど、いいかな?」
「あっ、はい。」
「じゃ、俺のこと、直感的に見て、どんな奴か?」
野生の直感で答えてみろとでも、言ってきているようだった。
"直感か。何だろこれ。俺と、一緒な感じだし。"
と思えたので、言われた通りに、素直にこう答えた。
「ドラゴン?」
そしたら、相手は、
「正解。やはりか。」
と、意味ありげな感じでつぶやいていた。この後、相手側が自己紹介をしようかと、話しを持ちかけてきた。
「じゃぁ、俺からいくな。まぁ、俺の名は、無藤新葉。日本政府直属火星基地所属地球外来物調査隊隊長を勤めている。以上だ。」
「俺は…、片次竜崎。下の高校2年、で…。」
と、言いにくそうにしていると新葉さんが、
「いいよ。そこから先のことまで、言わなくても。あれだろ、元は人間だって言いたいんだろう。まぁ、俺の方は元が、人間じゃないから。」
「そうなんですか。」
それだけ話して、新葉さんは、"仕事に戻るわ。"と、奥の方へと消えて行った。その後に、先生がやっと終わったかと、いう顔をしながら話しかけてきた。
「さっきの、人は?」
「あの人、先生が探していた人ですけど。」
「えっ。てっ。じゃぁ。」
と、言って奥に走り去って行った。
"何なんだろう、一体?変なの。"
それから1時間ぐらいしてから、跳びはねながら、先生がやって来た。その後に続けて、新葉さん達もやって来た。そして、新葉さんがこう話しかけてきた。
「少し、話しを聞かせてもらったよ。青い鱗のドラゴンだっけ。」
「はい。」
「そうか。だったら大変だな。」
「なんでです?」
「それは、これから検査しなきゃいけない。これをしないと、ここにいられなくなってしまうかも知れないし、第一、政府なんかに見つかったら、大変な仕打ちを受ける羽目になるからな。」
そこまで聞いていて、俺は"あっ"と、思い出していた。奴が、俺の姿を変える時に『ただの復讐さ。』と、言っていたことを。
「復讐。」
と、ボソッと言ってみた。すかさず新葉さんが、
「やはりそのためか。」
と、つぶやいていた。
「あの。新葉さん?復讐とは、何のことなんですか?一体。」
すると突然、別の声が聞こえてきたのだ。
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