6:復讐

「そんなことは簡単だ。復讐に決まってる。」
その声に皆、声の聞こえてきた方に向いた。そこには、奴がいた。忘れはしない、あの姿。巨体に、青い鱗。それに大きな翼。間違いない、奴である。そして、ちらっと新葉さんの方に目を向けてみた。その時、新葉さんは、ただじっと奴を見ているだけであった。それから、こう切り出した。
「お前、この子の姿を変えたのか?何故だ。答えよ。さすれば、多少は、お前気持ち抑えてやる。」
そしたら、奴は、こう返してきた。
「そんなこと出来る訳無いだろ。それともなんだ、馬鹿にしているのか?」
奴が話しているのを遮るように、新葉さんが、こう言い出した。
「聞こえていなかったのか?まずは、質問に答えろ。」
「ふんっ。そんなこと簡単さ。その姿になりゃあ、いやでもいつかは、政府に捕まり、僕と同じ目になれば、いいのさ。」
「それだけの理由か。それだけのために、こういう事をするのか、お前は?それ以外にもあるんだろ。」
「当たり前だ!そんなこと言えるか。」
と言い放って、飛び去ってしまった。その後、新葉さんが、
「恐らくだが、あいつは、お前さんの姿を変えたのは、お前さん自身にふりかけるだけではないな。それ以上に、人間すべてに対する復讐なはずだ。予測だが、暴走させて、街でも破壊させるつもりだろう。悪く言えば、虐殺させるつもりだろうな。」
「そんなぁ。」
「そのためにも、まずは、俺のところで、検査受けなければいけないな。」
「では、どんなことするんですか?」
「血液検査などの人間ドックと同じ事をするけど。まあ、そのほかに、まだ沢山のことを検査するんだが、それ以上は、言えないなぁ。」
「そうですか…。」
その他の言えないことの方が聞きたいのだが、どうも、答えてくれなそうだったので、それ以上のことは聞かなかった。
"復讐って、何なんだ…?"
それから、検査すると言われた明日まで、ずっとこの事について考えていた。これは、新葉さんに言われた事もあるけれど、それ以上に、奴の言葉の方が来になった。
"人間どもにしらしめるためにさ。"
"しらしめるて、どういう事なんだ?一体。"
やはり、どんなに考えても答えには、出ては来なかった。
「これ以上、考えても無駄か。」
とその日は、もう、寝ることにした。



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