7:検査
そして、翌日。
ついに、検査当日となった。指定していた、時間になった頃、新葉さんがやって来た。ただし、車で。
「おはよう。竜崎君。」
「おはようございます。」
「じゃぁ、あそこの扉の前に居てくれるか。」
「あっ、はい。」
言われた通りに、扉の前に立った。すると、足元が淡く光り始めた。よく見ると、魔法陣らしきものが見えた。新葉さんの方をちらっと見たら、何か、つぶやいていた。そのうち、淡く光っていた魔法陣が、今度は強く光り出した。
「わぁ。」
感嘆の声を漏らしていた。
「そろそろ、行くぞ。」
新葉さんの掛け声とともに、まばゆく光って、思わず目をつぶって、開けた時には、見たことのない所にいた。
「ここは?」
「ようこそ、我が私有基地へ。」
「私有基地?!」
私有基地を持っているって、どんだけ金持ち何だか、開いた口が塞がらなかった。
「驚いただろ。こんなものを持っていることが。」
「はい。」
それしか、答えることができなかった。
「竜崎君。そろそろ始めるからついて来て。」
と言われた通りについていくと、目の前には高さが100メートルはあろうかという、扉があった。その扉を、新葉さんは、軽々と開けたのであった。どこから、そんな力が出るのか、不思議だったが、さっきから不思議がってばかりなので、そこは、抑えて指示通りに、その部屋に入った。その部屋は、所狭しと、何だか分からぬ機械が置かれていた。
「じゃぁ、検査始めるぞ。まずは、血液検査からね。」
俺が、確認の返事をすると、今まで見たこともない、どでかい注射器を取り出してきた。
「なんすか、これ?」
「えっ、注射器だけど。怖いか?」
「いいえ。」
「そうか。じゃぁ、始めるぞ。」
検査が始まった。血液検査から始まり、腸内検査や歯科検診など、いたって普通(サイズや規模が違うが)なことをやっていった。ついに最後の検査項目になった。
「最後は一気に、まとめてやるから。」
「はい。」
"一気にやるってどういう事なんだ?"
と俺が思っていると、新葉さんが
「まぁ、じっとしてな。」
というと、また何かを唱え始めた。するとまた、俺の足元が光り始めると、魔法陣が浮かびはじめた。しかし、ここに来た時とは違い、今度は、その魔法陣が、床から浮かびはじめた。そのまま、上下してから、また、床に着き、消えた。
「はい、終わり。お疲れ様。」
という感じで、検査が終わった。
「検査終わったし、いろいろ話したい事あるから、もう少し付き合ってもらえるかな?」
「いいですけど。」
「それじゃ、いこうか。」
そういう事になり、また移動することになった。だだっ広い廊下を進んで行くと、次に目の前にあった部屋は、
「会議室?」
「そう、会議室。だけど、ただの会議室じゃないんだな。」
「どういう事です?」
「まあ、見てからのお楽しみということ。」
"何がすごいんだか。"と思っていたら、本当に驚かされた。
「何なんですか、ここは?会議室何ですか?」
あまりにも会議室とは、掛け離れ過ぎている部屋。まるで巨大倉庫の様な、何にも無ささ。壁は、一面の白。そのほかは、何にも無い。
「あの、新葉さん?本当に会議室何ですか?」
「そうだけど。」
何の疑問なんか、持たないだろうと言わんばかりの返答。"この人の常識って、何なんだろう?"と、言いたくなってくる。そして、それぞれの好きな格好で座った。二人しか、居ないけど。
「で、話したいことなんだが、その前に、私の本当の姿を見てほしいだけど、いいかな?」
「いいですけど。」
「それじゃ。」
と立ち上がり、俺から少し離れると、
「我の真の姿をここに、現せ!」
そう、叫んだ瞬間、新葉さんの体が光に包まれる。そして、光が消えた時には、すでに見慣れた姿は、どこにも見当たらなかった。そこに居たのは、白鱗の竜人のような姿だった。
「それが、本当の姿何ですか?」
「あぁ。」
何というか、美しいの一言しか、出てこない。というよりか、神々しいに、等しい。と、俺が、見とれていると、新葉さんが、
「これ見て、わかるように、俺は、人じゃない。元々が。だから、というよりか、自称なんだけど、地球外次元知的生命体って、言ってるんだけどね。」
「地球外次元知的生命体って、何ですか?」
「簡単に言えば、この世界には、本来いるはずも無い、知性を持ったいる、生物のことで、俺は、その中でも、一番初めの世界の出身さ。」
「では、俺なんかは、どうなんですか?いや、その前に、あのドラゴンは、どういう分類に、入るんですか?」
「あいつも、多分、俺と同じ分類に入るが、出身は、違うところだな。後は、お前さんのことだが…。」
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