10:久しぶりの登校
「今の…先生…だったのか?」
なんていう速度だ。あれが人間の馬鹿力というものなのか?それとも、何かで鍛えているのだろうか?わからない。まあ、そんなこともあったが、そのあとは、なにもなく学校に着いた。
「学校に着いたか。なんだか、懐かしさを感じるな。って、もうそんな考えが、出てくるなんて、俺、そんなに歳とってねぇし。」
なんていう愚痴をもらしながら、俺のクラスへと向かう。教室に向かうと、そこには誰もいなかった。
「おかしいな?いつもなら、必ず誰かいるし。それとも、曜日でも間違えたかな?」
とりあえず、席に座って、ぼんやり考えていると、いきなり後ろから、ドアが開く音とともに、クラスの皆が一斉に、
「会長、学校復帰おめでとうございます!」
「はぁ。というかどうしたんだ、皆で?」
と聞いたら等が、
「いやあのさ、昨日一度、竜崎のところに行く前に、学校復帰の祝賀やろうって、いうことになって、だけど、ただやるのもつまらないから、わざと教室に誰も居ないようにして、驚かせるっていう計画だったんだけど。」
「そういう事だったのか。まぁ、確かに誰もいなかったことも、そうだったし、その後のも驚いたよ。わざわざ、ありがとうな。」
それから10分後、先生がやって来た。
「みんな!いるか〜。じゃぁ、ホームルーム始めるぞ。席につけよ。」
と、座っていなかった奴も席に座った。それを確認してから先生が、
「今日の連絡事項は、無いから、祝おうよ。」
そんなことを言い出した先生にある一人が、
「先生。それ、もう終わりましたよ。」
「えっ?どういうこと?」
「いや、ですから、祝賀は、終わったって言ってるんですけど。」
「そうか。アハハは。じゃ、1時間目の用意しろよ。」
と言って、今日を出ていった。そう言えば、朝っぱらから、あいつの授業だし、なんかまた、長い時間を使って、くだらない授業するんだろうな。で、あいつとは、現代史担当教師、滝沢正規。この学校一の無駄話が多い教師で、約半分以上を無駄話に費やす。そのためあだ名は、無駄話キング。そして、教室の戸が開けられた。
「はい、授業始めるから座れ。」
滝沢は、クラス全員が座ったのを確認すると、
「挨拶お願い。」
「起立、礼。」
『お願いします。』
と、いつものように授業が始まった。
久しぶりの現代史の授業。やはり、また無駄話が始まった。話していることは、授業内容とは、全く持って違うことしか言わない。今回は丁度、落下物調査隊の話しだった。
「今回の調査隊のメンバーは、エリートだと聞いているが、どうも私は、そう思えない。なぜならば、あまりにも調査内容とは、関係の無い奴らばっかりだからだ。私には、…。」
という感じに、同じようなことを延々と話している。何でそこまであつくなるのかは、誰も知らない。で、そんなつまらない話しも、20分くらいして終わり、やっとまともな授業が始まった。しかし、それも直ぐに終わりを迎えた。また、無駄話が始まってしまった。今度は、10年前に起きた事件の事について、熱弁している。そこまであつく語る程の内容ではないんだけど。それで、約10分費やす。後25分のみ。
"また、試験範囲減りそうだな。"
こちらとしては、有り難いだけど、学校側としては、最悪なんだけど。そのせいなのかは、わからないけど、"無駄高校"なんていう、言われ方をされている。個性的過ぎる校風もここから来ているのだろう。という訳で、結局授業は、半ページだけ進んでチャイムがなった。クラス全員が、何かの束縛から解放されたように、一気に騒がしくなった。
「起立、礼。」
『ありがとうございました。』
これで、やっと終わったと、思った矢先、突然、滝沢が、
「オイ、次の時間も私だという事、忘れるんじゃないぞ。」
この言葉だけで、一瞬のうちで、クラスが一気に冷めた。そこに、等がやって来て、
「竜崎。頑張れよ。僕は、影からしか応援出来ないから。」
と、一言だけ言って去っていった。
「そんな。」
また、長話をこんな目の前で、聞かせられるなんて、俺にとっては、ただの苦痛にしか、成らないし。しかし、時は待ってくれはしない。必ずその時はくる。どんなに足掻いても。がらりと滝沢が入ってくる。そして、俺の正面に立ちはだかる。何ともいわぬ圧力がのしかかってきた。
「起立、礼。」
『お願いします。』
そして、今日のその時がやって来た。しかし、それは、以外な方向へと、向かう。
「では、授業を始める前に、話しておかなければ、成らないことがある。」
クラス中が"またか。"という感じが流れた。ただし、そのあと滝沢の口からは、予想を大きく掛け離れた言葉がはっせられた。
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