18:平和な時間は少ししかないもんだ。
俺は電話を受けていた。新葉さんからの電話である。話しによると、あいつは80年前にこの地球へと飛来した、星空竜族といわれている種族らしい。その中で1匹だけはぐれて、研究者達に捕まったという。
「可愛そうだけど、何で一人でやらないで、俺を使ったんだ?はた迷惑なだけだし、それに結局のところ、その計画は失敗してるし、何の利益があるのだか。」
"迷惑なだけだな。"
そう結論付けて、それ以上の事はあまり追求しないで、話し合いか何か復讐以外のことで、終わりにしようと心の中で決めた。その時に時計の針を見ると、すでに12時を過ぎていた。
「やばい!明日は早いのに、支度しなくちゃ!」
急いで支度をしてベットと入って寝た。
そして翌日
目覚まし時計が鳴り出した。
「ウ〜ン、あっ、朝か。あ〜、あまり眠れなかった。」
眠いところを頬を叩いて何とか眠気を覚まし、朝食とする。
「は〜あ、眠っ!」
今だに眠気から覚めないで居ると、いきなり電話が鳴り出した。
「はい。片治ですが?」
「竜崎か?」
「新葉さんですか?」
「そう。」
「で用件は?」
「用件は、今すぐ学校に来てくれ。詳しいことは後で。早急に頼む。」
そういって、電話が切れた。
「あっ、切れた。」
こうしてはいられない。直ぐさま支度をし、朝食を掻き込むと、直ぐに家を出た。
「はあー、はあー」
息を切らせながら、学校に着いた。そうすると、
「オーイ、こっちだ。」
こちらを向いて、手を振っている。
「急いで来いとは、何事ですか?」
「いや、すまない。だが、このことはどうしても早急に対処しなければいけない事態になってしまったんだよ。」
「そうですか。」
「じゃあ、早くみんなが来ないうちに、さっさと取り掛かろう!」
「はい。」
そして連れていかれた場所は校庭だった。
「これから何をするんです?」
「それは、この穴埋め。」
「何なんです、この穴?」
「いやぁ、これがいつの間にかに出来ていてさ。私が1時間くらい見ていないうちに、多分あやつがやったんだと思うんだが、この有様さ。全く困ったものだ。」
愚痴をいいながらも、黙々と穴を埋めていく俺と新葉さん。それから穴を埋め始めて生徒達がだんだん登校始めるまでには、終えることが出来たのである。それは朝から、いろいろとやらされて休む暇がなかったぐらいである。
そして待ちくたびれたころにやっと平和な時間が訪れた。
「やっと昼か。長かったなぁ。後の授業は楽なものばっかだ!」
そう、このあとは自習しとけば良い教科だった。いつもはつまらない事ばかりしかやらない。それが今日に限って教師が二人ともダウン。そのために自習。朝から何かと疲れていた俺にとっては、とても有り難いことだった。
「始めるぞ。席につけ!」
自習監督に数学科の向井里砂味先生がやって来た。
「おまえら。自習だからといって、サボるんじゃあねぇぞ!分かっているな!」
この教師は、口調が荒いで有名だが、これでも学校内で、1・2位を争うぐらいの美男子で、いつも繁華街で不良共に襲われている程。
「気をつけ、礼。」
『お願いします。』
そして皆、着席するとそれぞれの自習課題をやりはじめた。この時間の教科は、やることは既に終わっているため、ほとんどは違う教科をやっている。
それから、何の問題も無く終了。礼をすますて、終わった。
「ウ〜ン、はぁー。終わったよ。」
「竜崎。また自習だな。」
「そうだな。」
「そういえば、竜崎?」
「何?」
「朝早くから、お前何やってたんだ?」
「え?な、何だよ。いきなり。た、ただ早く行きたいなぁと、思って実行しただけだからな。」
完全に何か隠しているような口調になってしまっている。
「その口調からじゃぁ、何か隠しているようにしか、見えないよな。」
「うっ。」
これ以上、返す言葉を失ってしまった。
「わ、分かったよ。話せばいいんだろ。ただ、穴埋めしていただけだよ。」
「本当かよ。」
「本当だよ。それしかしてねぇよ。」
「ふ〜ん、何だ。つまらねぇの。」
まあ、今思えばつまらないことだろうが、校庭に穴が開いていたら危ないと思うんだが。そうしていつも通りの平凡な1日が過ぎようとしていた。だがこの時、俺は重大なことを見逃していたのである。どうして、そんなにも早く、校庭に開いた穴を埋めなければいけなかったなのかを。それもそのはず。穴ぐらい周りを囲っといて、その中に入れさせなければそれで済むはずなのに、一々、それも俺に埋めさせなければいけない理由があったのか?よく考えて見れば、復讐何とかでいろいろな事をしているあいつが何かをして、それであまり騒ぎが大きくなるのを、防ぐ為以外に理由が無い事である。平和と感じられていたからこそ、ある疑問を見つけることが出来たのある。
「この疑問だけは片付けておかないと、いろいろと面倒だしな。」
独り言をつぶやくと早速、実行へと移した。先ず最初は、どうも夜な夜な現れるという、トラスの奴の行動を探る事にした。そして、夜の11時頃に学校内に潜り込んだ。一緒に俺自身の気配を消すと息を細め、トラスがくるのを待っていた。すると案の定、奴は何も知らずにやって来た。
「今日はあれかな。」
そうつぶやいて、何かを唱えはじめた。しばらくすると、大きな爆音とともに爆発があった。そうすると、また何かを唱えはじめた。今度は、トラスの前に小さな光る球体状の物体が現れた。それは、まっすぐに、さっき出来たばかりの穴に吸い込まれるように、あの光る球体は地面の下に消えてった。
「何だあれは?」
疑問に思っていると、後の隠ぺい工作もせずにさっさと、去って行った。
「なぜだ?」
不思議には思ったが、そんなことよりもトラスの奴が仕掛けていった物の方が重要である。
「何だあれは?魔法とかの一種かな?それとも星空竜達にある術なのか?分からないけど、多分、そのあたりだな。」
俺成りに立論づけてみた。ただ、結論づけたのは良いが、それ以上のことは考えつかなかった。
「これからどうすればいいのだろう?調べるにしても、まだ魔法とか言うのは知識不足で分からないからなぁ。どうするか?いい考え無いかなぁ?」
これ以上は無駄なので、考えるのをやめた。
「どうしようかな?」
家に帰りながら、これからのすべき事を考えている。
「とりあえず、これから毎日確認しに行くか。それで何かあれば…。その時は思い切ってやるしか無い。」
そういう事にして、家へと帰った。そして翌日。
「おはよう、竜崎君。」
「おはようございます、新葉先生。」
「どうだった、昨日?」
「どうだったかって、見てたんですか?」
「もちろん。しっかりと見てたけど。それにしても鈍いなあいつ。あんな簡単な結界、分からないなんてさ!まあ、だけど基本的な魔力はでかいけどな。」
「それって?」
「つまり、目の前しか見ていない。」
「ふん〜。」
少し、立ち話が長くなってしまったので
「それじゃ、失礼します。」
「おう!頑張れよ!」
ということで、教室へと向かった。教室に着くとまず先に荷物を置き、廊下に設置されている冷水機の前まえに立ち、水を飲んでからまた教室へと戻った。教室には今、来たらしい等がいた。
「よっ!等。」
「あぁ、何だ竜崎か。」
「"何だ竜崎か"って、何か俺に文句でもあんのかよ。」
「別に。というか、竜崎。」
「何?」
「お前って、柊さんと関係でも作ったのか?」
「はあ!?」
かあーと顔が赤くなっていくのがわかる。
「おっ、赤くなった。」
「う、うるさい。」
「わりぃ、わりぃ。でも竜崎さ。この頃もっぱらの噂だぜ。」
「う、噂?」
「それも相当数の広がりで、学校中で噂されている程。」
まさかそこまでとは。確かに昨日はやけに視線を感じたし。まぁ、こういう事はすぐに広まるし第一、防ぎようの無いことは確実だから。
「噂は本当さ。こうなってしまった以上、隠し通すのは無理だしな。」
「おっ、腹をくくるのか?」
「あぁ。腹はくくった。」
この後、俺は告白されたことも言った。ただし、小声で。あんまり告白されたとかいう事は、言った本人に対して恥ずかしめにされる場合があるから、男としての気遣いである。そのような事を話し合ってたら、いつの間にかホームルームの時間になっていたので、キリもよかったので、すぐに席に戻った。
それから時間が進み、昼飯の時間になった。俺と等と何故か次男坊こと、佐武先生と一緒に取ることになってしまった。
「どうして、佐武先生が?」
「何だ、私が嫌いなのか?どうなんだ、竜崎?」
「いや、そういう訳じゃ無いですけど、何か用でもあるんですか?」
「用って言うほどじゃ無いけど、話がしたいなぁなんて、思ったりしてみて。」
「結局、用があるんじゃないですか!まぁ、暇なんでいいですけど。」
「ありがとな。付き合ってもらちゃって。」
「どうも。」
それから食事を済ませて、さっと立ち上がった。
「それじゃ俺、仕事あるんで、この辺で失礼します。」
と言ってその場を離れ、集会場へと向かった。今日は、クラス代表が集まり、クラスでの問題点をあげあい、それぞれのクラスで話し合ってから、もう一度集まり、対策を出すというのもである。今回は、問題点を出す日である。こうして、俺の仕事を済ませると教室に戻る事にした。教室に戻ると等が俺の席の前で待っていた。
← ↑ →
Copyright (C) shibatura 2010-2011 All rights reserved