21:事件発生

朝、部屋に朝日が差し込んでいる。
「うん〜ん?あっ。もう、朝か。」
ゆっくりと伸びとあくびをしてから起き上がった。
「気持ちよかった。久しぶりに良く眠れたな。」
少ししてから、こちらに向かって来る、足音が近付いて来た。
「何事だ?」
そう疑問になって、様子を見ようとして、立ち上がった時、扉が勢いよく開き、使い早口で伝えに来た。
「リュウキ様。大変な事が起こりました。すぐさまお逃げ下さい!」
俺は、何があったのか聞こうとしたが、気付いた時には、使いは居なかった。
「居ないし。しょうがない出るか。」
そういう事で、部屋を出て行った。皆が集まっているという、大広間へと急いだ。大広間では、家に住まう者達が集まっている。そこから、プリムの家族を見つけると、近付いて行った。
「リュウキ様!」
俺を見つけた、プリムが近付いて来る。
「大丈夫だった?」
「もちろんだ。ところで何があったんだ?」
「えっと、それは、詳しい事は知らないけど、何者かが侵入したらしいですって、それでここに集まる事になったの。」
「そうか。」
その時、外の方で大きな爆発音がした。慌てて窓の所から、外の様子を見た。そしたら、1キロ先に黒煙が上っていたのだ。
「火災が発生したか。」
すぐさまに、サジシスさんが詠唱し始めた。
「我が盟約を下に汝の力を与え給え!レインシャワー!」
直ぐさま、火災現場上空に魔法陣が描かれる。そして、大量の雨が降り出し、カーテンの様に広がる。みるみる火災が収まって、ついに鎮火した。
「凄いですね。あんなに広範囲に雨を降らせるなんて!」
「いやいや。あなた様の方が魔力大きいですから、まだ私のは小さい方ですよ。」
と逆に謙遜されてしまった。だがしかし、まだ安心出来ない。犯人がまだ捕まっていないのだ。
「防犯システムの方は、どうなっている?」
とサジシスさんが防犯担当に聞いた。
「いいえ、まだです。現在は、捜索ランクを引き上げています。」
「分かった。」
どうも、まだ、どんな奴がやって、どうしたかが分からないらしい。そこで俺は、捜索魔法を張る事にしてみた。
「空間の理、我が名にて命じる。この屋敷に入りし者を探索せよ。ワールドサーチ。」
目の前に画面が現れる。そして数分後、画面が"Please wait"から"Hit"に、変わった。
「見つけた!」
画面に相手の居場所が表示された。
「直ぐさま、犯人の確保に回せ!いますぐだ。」
とサジシスさんの激が飛ぶ。それに応じて、部隊が動く。
「さすがですね。ちゃんと乱れることなく動かせるんですから。」
「有難うございます。我が名にかけて、犯人を必ず、捕まえて見せます。」
そう言って、部屋を飛び出して行った。
その頃、犯人側では次の作戦を実行しようとしていた。
「次は、この混乱の間に屋敷の中に潜入しないと。ん?ヤベ、こっちに来てやがる。そろそろ始めますか。」
そして、敷地全体に催眠魔法をかける。
「騙しの眠り、フーリッシュ・ドリーム」
そのとたん、周りにいた警備班が次々に、倒れていく。
「今のうちだ!」
気配を消し、姿を消すと屋敷の方へと駆け出した。扉は開いたままであった為、犯人はたやすく入ることが出来た。
「無用心なものだぜ。センサーは旧型だしよ、これが天下のドランス家かぁ。」
その頃、大広間ではもしもの為に、犯人の魔法探索を続けていた。
「あっ、犯人が屋敷内に入った。これだと、そうだなぁ。あの、これから指示するんで、犯人をここにおびき寄せてくれますか?」
俺が問うと、広間に残っていた人達も手伝ってくれた。
『そこを左に。』
次々と指示を出して行くと、皆もその通りに動いてくれた。そのため、思った通に、犯人が部屋の前へとやって来た。その前に、皆に気配を消して隠れてもらっているために犯人は、こちらの思惑道理に扉を開け、部屋に入って来た。
「クソッ!まさか、追い詰められるなんて。早くここから退散しねぇと、ヤバいなぁ。」
だが、犯人は動くことは出来なかった。なぜならば、俺が犯人が部屋に入って来たのを確認して、犯人の名を割だし、名で縛り付けたからである。
「どうもすまない。犯人逮捕まで付き合わせてしまった様で。」
「良いんですよ。気になさらずに。」
犯人をサジシスさんに受け渡してから、帰る事にした。
「送って行けないのが残念だが。」
「なら私が送って行きます。」
「そうか、分かった。それでは行って来て、貰おうか。」
「はい、お父様。」
こうして俺達は、ドランス家を後にした。そして昨日と同じ場所に降り立ち、人間の姿に戻りあってから、別れの挨拶をして家に戻っていった。そして、プリムの家に失礼してから、2週間とちょっと過ぎた頃。学校が創立記念日で休みの日。俺は等と共に商店街へとやって来た。ここは、昼間から不良達がたむろしている場所だった。何故、そのような場所に来ているかというと、ちょうどとある脱獄者がこの世界に、逃げ込んできたと連絡を受けて調べてみたら、この商店街に潜伏している事が分かった。それで、その者を逮捕するために、やって来たのだった。
「なぁ、竜崎。」
「何?」
「ホントにこんな所に居るのか?」
「でも、ここだとしか、検索したも出てこ無かったんだから。」
「そうなのか、そりゃ、しょうがないな。」
「それ、嫌みなのか?」
「さぁ、ねぇ。」
そうして、脱獄者が隠れているとおぼしき、おんぼろ家の前までやって来た。
「ここなのか?」
「地図では、ここを示してる。」
「まあ、確かにこういう所に隠れて居るっていうの多いし。」
「在り来りと言えばそうだけど。とりあえず、入ってみよう。」
「そうだな。」
そういう事で、二人は家の中へと入って行く。中は、誰かがつい最近、出入りをしたと思われる、どう見ても人間のものとは違う、あからさまに異形なる足跡が残っていた。
「何の足跡だろう?」
「今、調べてみる。」
さっと、検索をかけてみる。そうすると、ある一つの足跡が引っかかった。脱獄者の情報と、照らし合わせてみたところ、ピッタリと合わさった。
「間違いない。ここだ!」
「今は、居なそうだな。」
「あぁ。」
「で、どうするんだ?居なきゃ捕まえられないだろう?」
「奴が来るのを待つしか無いだろう。」
「そうだな。じゃあ、来るまでどこで待つ?」
「この近くでいい場所は…。」
周りを見渡すと、商店街の近くに、ある人の家があった。
「次男坊のとこ、かな?」
「あそこか?お前、大丈夫なのか?あんな魔境みたいな所。」
「いい場所なんて、そのぐらいしか無いだろう。」
「それでもいいのか?」
「慣れるしかないから。」
俺はそう返して先生の家へと向かった。
玄関の前まで来ると、インターホンを鳴らした。
「どちら様で?」
「竜崎と等です。」
「そうか。今、開けるな。」
しばらくして扉が開き、先生が出てきた。
「さあ、入って。」
という事で、先生の家に少しの間、居ることになった。
先生宅にお邪魔してから、約2時間が過ぎようとしていた時、ついに動きがあった。あの家の周りに結界の一種の、人除けの結界が張られたのだ。俺は立ち上がり
「等。奴に動きがあった。捕縛しに行くよ。」
「OK!」
「じゃあ、先生。後でまた。」
「待ってるからね、二人とも。」
そうして俺達は、先生に挨拶してから、現場へと急いだ。
現場では、既に結界は外されていた。俺は、結界を張ろうとしたが、逃げられる可能性があった為、結界を張るのは断念した。
「裏と前から同時に入ろう。じゃあ、後で。」
「おぅ。」
こうして、裏口には等が行き、俺が前から入る事にした。
『行くよ。』
『いつでもいいぞ。』
『それじゃ、突入!』
一斉に家の中に突入した。中にいたのは、まさしく脱獄犯だった。
「何だおまえら!」
突然、見知らぬものたちが入って来たのに、驚いていたようだが、危険が無いと判断したのか、話しかけてきた。
「お前ら、この俺を見て驚かないのか?」
これはチャンスと踏んで、こう質問してみた。
「無いよ。それと質問していいか?」
「何だ?」
「では、ここで何をしているんだ?」
語尾をわざと、強調してみる。これには向こうも感づき始めた様で
「それは…、ほら、あれだ。出来心という…。」
そこで、言葉を遮る。
「なら何故、逃げ腰で言う必要があるんだ?」
「そ、それは…。」
と言った所で、魔法を咏唱しようとした。だが、その前に俺が気づかれないように、相手に制約魔法をかけておいたため、魔法が使えないでいた。
「くそっ!何で発動しないんだ?」
「簡単さ。お前の周りに魔法を使えないように、制約魔法をかけておいたからさ。後、もう逃げられないから。」
「ガキのくせに!」
「あいにくさまだな。俺はこの世界を任せられてるからね、一応だけど。」
「神竜族か?」
「まぁね。」
その時、後ろからとある人物が現れた。
「ご苦労様。後は我々、本局に任せて下さい。」
やって来たのは、新葉さんから話しを聞いた事のある人物だった。
「あっ、申し遅れました。私が、この地区担当のナダニエル・ラ・スエスと申します。お見知りおきを。」
こうして、ナダニエルさんに脱獄犯を引き渡した。
「では、失礼致します。」
と、言って去って行った。



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