24:会議開催

「では、まず最初に現状報告をしておく。それでいいかな?」
「はい。俺はそれで大丈夫です。」
「私も右に同じくです。」
「そうか、よし、それじゃ報告する。最初にこの地域の被害報告だ。まず、コイツが落ちてきた影響で、クレーターが南北に3キロ、東西に4キロにわたって広がっている。そして、落下による地震によって、全壊が10戸、半壊が36戸だ。次に、必要かは知らないが、一応、聞いていたほうがいいと思うから、伝えておくぞ。名は、ヤザギス・J・サハジスラ。現在、次元際指名手配中。懸賞金までかけられている。それから、今までやらかしてきた罪は、数を知れない。まあ、一言で言えば、とんでもない奴だという事。伝えるとしたらこのぐらいかな?後は、くだらない事ばかりだしな。以上だ。質問とか無いな?」 周りを見渡して、俺達が疑問に思っている事が無いか確認すると、次の話しを始めた。
「次は、こいつをどうやって動けないようにするのかだ。基本、こいつに束縛の魔法何かは、効かない。すぐに食い破られてしまう。そこで、どうやってやるのかを考えて欲しい。出来るだけ突飛抜けた方法を。最初に私からの提案だけしておく。私の考えでは、言霊縛りにしてはどうかと思うんだが、それだけでは食い止められても、そんなに持たない。だから、それにプラスして何か束縛出来る方法を考えて欲しい。出来ればでいいから出して。」
このようにしている時、ある一団がやって来た。
「お待たせいたしました、隊長。」
「おお。来てくれたか。」
その顔を見て、はっと気づく。
「あなたは確か…。」
「久しぶりだね、竜崎君。多分、私の名前までは知らないはずだから。そうだろう。」
「はい。」
「私の名は、間宮崎祐一郎。この隊の副隊長をしている。更に正確に言えば、次元管理局特別監査委員、マガリフス・ナシル・リスター。今後ともよろしく頼む。」
「こちらこそ。」
「初めまして、私はプリム・セルシラ・ドランス。お会いできて光栄です。マガリフスさん。」
「こちらこそ、ドランス家のお嬢様にお会いできて光栄です。」
とここで後ろの方から声がした。
「副隊長〜。我々の事を忘れちゃ居ませんか〜?」
「えっ?あ〜。すまん、忘れていた。」
「すみません。うちの隊の者をご紹介するのを忘れていました。」
と、隊の面々を紹介し始めた。隊の紹介が終わった頃、あまりにもタイミング良く、次元管理局第2071地区担当のナダニエルさんがやって来た。そして、シンバさんの近くに行く。
「遅れてきてすみません。途中で妨害を受けまして、到着が遅れました。」
「妨害?誰に?」
「わかりません。突然でしたので。」
「分かった。それでは、後で詳しく聞こう。」
「では。」
そうして、自分も俺達の輪の空いている部分に座る。シンバさんは皆が揃ったのを確認してから、
「そんじゃ、皆、揃った所でさっきの続きを始めよう。」
中断されていた会議が再開された。皆、黙り込み真剣に考えているなか、一人ばかりへらへらとしていて、考えているのか、いないのかどっちなのかが分からないがのがいた。この男、奈橋ヤシチこと、ヤシチ・ナスシラ・ラゴニエールさんは、太極拳なら右に出る者がいないとも言われているが、太極拳以外ではあまりいいとは言えないのらしい。その中で最もだめなのが考えるということ。それも雰囲気が少し出も考えているという感じになると、へらへらになってしまう。そんな訳で、ヤシチさんは、
「気分転換してくる。」
と言って、輪から外れていった。程なくして戻ってきたが。
そのまま、よい案が出てこないで2時間ぐらいたった。相当厄介な相手で、ちょっとやそっとで押さえ付けて置ける程ではない為、生半可な方法では通用しない。相手は、今までに沢山の神竜を相手にしてきたのである。シンバさんも何回か対峙したことがあったが、その度に逃げられてしまっていた。だからこそ、しっかりと考えなければいけなかった。そんな中、一人がとある提案を出した。提案者は、マガリフスさんであった。
「一つ提案させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「いいぞ。で、その提案とは?」
「はい。魔術と科学技術とを合わせてみてはどうでしょうか?最大限のご支援が出来るかと思いますが。」
『お〜。』
と、どよめきがおこる。
「よくぞ思い付いてくれた。その手があったか!」
俺もそこまでは、思い付きはしなかった。
「それで、どのようにやるのか?」
「それがなんですが、奴の血液中に、この特殊な溶液を入れるんです。そして、この溶液には相手の運動神経を麻痺させる事が出来ます。これで、弱らせるのですが、ただこれには、問題がありまして…。」
と何だか歯切れの悪い口調をする、マガリフスさんがいる。
「問題って?」
シンバさんがすかさず質問を入れる。
「はい。奴に素早く確実に、この溶液を入れなければいけないのですが、あいにく私には、それを行うような方法が無いのです。」
「そうか。多分、大丈夫だろう。」
「なぜです?」
「そりゃ、ここには最高の狩猟者が居るでは無いか。」
そういって、俺の隣に居る者を指す。俺の隣でシンバさんに指されたのは、特に変わったような所を持っている様には、見えない、奈橋ヤシチこと、パスタース・リ・ジャクスさんだった。
「私ですか?いや、私にはそんな技能なんかありませんよ。」
「いや、この俺が入隊時の試験官だぞ。ただの奴なんか入れる訳が無い。だから、大丈夫だ。俺が見込んだ奴にダメな奴はいないからな。」
「そうですか?」
「そうだ。間違いなんて言うものは無い。だから任せたぞ。」
「はい。分かりました。」
「それじゃ皆、その方向でよいかな。」
『はいッ。』
「それでは、あいつに睡眠魔法かけるぞ。手伝えるものは、参加してくれよ。」
こうして、睡眠魔法"スリープ"をかける。
「よし、これでもう1週間は延びるだろう。その間に作ってくれよ。期待している。」
「3日で完成させて見せます。」
「それじゃ、解散。」
こうして、会議は解散となった。そして、シンバさんと俺達2人がその場に残った。あと、ナダニエルさんも。
「所で、ナダニエル。」
「はい?」
「先程の話し、詳しく話してくれ。」
「はっ。ちょうど、私がシンバ様に呼ばれ参っている途中、管轄地区の手前で突然の襲撃を受けまして。確か、担当区域の境目で、管轄体制が整っていない所ということと、突然の襲撃で探索を行うことが出来ず、更に申し上げれば、関連機器や飛行装置を破壊されたということで、修理の為に遅れまして、話しこの程度です。」
「そうか。そうだな…。リュウキ、探索出来るか?襲撃者を。」
「やって見ます。」
そして、俺は探索を開始する。
『Research』
数分して、
『Loading…』
そして、一つの画像が表示された。
「攻撃を受けた時の周辺地区2000区域の画像です。赤い所が現場になります。」
そこには、一つ大きな影が、画像を覆っていた。



Copyright (C) shibatura 2010-2011 All rights reserved