26:捕縛を開始
先生の家から自宅に戻り、そろそろ寝るかなと思っていた時、シンバさんから一報が届いた。
「ん?メールが着てる。誰だろ?」
携帯電話には、1通のメールが届いていた。
「見たことの無いアドレスだな。」
よく、アドレスを見ると、"shinba@system-nagomi.net"と、なっている。システム"なごみ"とは、次元管理システムのことで、そこから送られている。よく見ると、
「シンバ。あっ!」
ようやく、気付く俺であった。
「何だ、シンバさんからか。何だろう。」
メールを開いてみる。
「捕縛実施について」
という件名であった。
「日程が決まったのか。」
メールには、明日の放課後すぐに現場に来るように、とだけ書かれていた。
「明日か。今日は早く寝よう。」
という訳で、早く寝ることにした俺は、早めに夕食を済ませ、寝た。そして翌日。
「うーん、はぁ〜、よしっ!行くか。」
気合いを入れて、家を出た。そして、学校に着くとまず、教員室へと向かい、新葉さんを訪ねる。
「新葉先生は、いらっしゃいますか?」
と、呼び掛ける。すぐに新葉さんがやって来た。
「ホイホイ、何かようかな?おっ!何だ、竜崎か。どうした?」
「"何だ!竜崎か"じゃ、ありません。昨日、メールくれましたか?」
「もちろん送ったさ。ちゃんと着いただろう?」
「そりゃ、着きましたけど、何から送ったんですか?」
「これでだよ。」
そう言って、取り出した物は正しく、携帯であった。
「だったら、このアドレスは何ですか?」
そうしたら新葉さんは、あ〜ぁという顔をして、
「そういう事ね。わかった。説明しよう。」
新葉さんの話しによれば、あの携帯がシステムの子機に当たるものらしい。だから、アドレスに、システム名があったのだ。
「そういう事何ですね。」
「そう、そう。そういう事。」
という事で、疑問を解決することに成功した俺は、その足で教室へと向かったのだった。教室には、大分生徒が集まっていた。
「竜崎君?昨日、メール来た?新葉先生から。」
「あぁ、来たよ。今日の放課後に、現地集合だっけな?」
「そうよ。」
「それじゃ、俺は仕事を終わらせてから行くと思うから、先に行っててもいいよ。」
「わかったわ。」
という事で、いつも通りに学校が始まったのだ。そして学校も通常通りに進み、ホームルールが始まる。
「よーし、ホームルールを始めるぞ。」
と、教室に入って来たのは新葉さんだった。
「佐竹先生は出張なので、私が代わりにホームルールをするからな。」
と。
「起立、礼。」
『お願いします。』
こうして、ホームルールが始まる。
「連絡事項は、この頃、物騒な事件が多発している。帰宅時は気をつけるように。後は特に無いので、挨拶して終わるぞ。」
そして、俺は帰りの挨拶をさせる為に、号令をかける。
「起立、礼。」
『さようなら。』
そして、学校が終わった。放課後になると、会長の仕事があり、30分ぐらい遅れて、現場へと向かった。現場に着くと、だいたいの人は揃っている。
「シンバさんは?」
と、先に行っていたプリムが聞いてきた。
「いや、まだ学校に居たけど、もうすぐで来ると思うよ。」
と伝える。実際のところ、まだ、シンバさんは、学校で仕事をしていた。さらに30分が過ぎると、ようやく、シンバさんがやって来た。
「スマン。仕事が長引いた。みんな揃って居る様だし、始めるぞ。」
『はい!』
ここからは、共同作業となる。最初に、相手を地に縛る事からだ。縛り付ける方法は、相手の言霊を掴み、地に縛り付ける方法である。この方法は、ある程度、相当数の霊的能力の高い者にしか使えない方法である。
「いいか。一斉にやるからな。」
と、シンバさんから指示が伝えられる。そして、
「一斉の、せっ!」
の掛け声と共に、一斉に縛り付ける。起きる様子は無い様なので、気付かれてはいない。
「よしっ!ヤシチ、準備は良いか?」
「はい。準備万端です。いつでも行けます。」
「わかった。」
そして、シンバさんは一度息を整えると、
「撃ち方よし、撃て!」
「はい!」
それを合図にヤシチさんが、特殊な薬が塗られた槍を投げる。その時、今まで目を覚ます事がなかった奴が起き出したのだ。野生の本能なのかは分からないが、危険を察知したからだ。しかし、その時には既に遅く、言霊で地に縛られているため、簡単に動けるわけがなく、そのまま槍が命中する。すぐに薬の効果が、現れ始めた。
「な、何故、動けんのだ!?この我に何をした?くそ!神竜ども!」
と、騒ぎ立てるが意味が無い。予め来ていた、管理局の職員によって、逮捕されたのだ。
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