30:実戦訓練。そして、

自分の世界に来てから3日目。ついに実戦訓練が始まる事になった。訓練内容としては、最初は簡単な封印式から始まり、最後には実際に相手に見立てた物を完成体の封印式で、封印する所までだ。
「リュウキ。準備はいいか?」
「はい。」
「では、目標はあそこでうごめいているエネルギー体だ。外さぬようにしっかりと狙え。出来る限り、1回で成功させろ。」
「はい。」
精神を集中させて、狙いをつける。
「チェーンシール。」
1度で、当てる事が出来た。
「やるじゃないか。その調子で、バンバン行こう。そうしないと間に合わなくなるからな。」
「はい。」
「良い返事だ。」
再び始める。ひたすらに封印の精度を上げる特訓が行われた。
「対象に集中しろ!」
「はいっ!」
そして、2万回もやり続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ。終っ、た。ふぅー。」
「頑張ったな。」
「もちろんですよ。やらなきゃいけないんでしょ。やらなきゃ。」
「そうだ。」
俺が一息ついたのを見てから、
「次のステップに移ろう。ぐずぐずしている暇は無いからな。次は、もう少し難易度をあげよう。そうだな、ランクCに上げよう。これで同じ事をやれば大分、後が楽になるから。頑張って行こう。」
今度は、術の難易度を上げて、行うことになった。これも順調に行う事が出来たお陰で、予定通りに終わった。
「やっと終わった!」
「ご苦労。良く頑張った。今日はこの辺で終わりにしようか。」
「そうですね。俺もこれ以上は無理。これ以上やると、体がもたねぇ。」
「それじゃ、明日。今後は朝早くからな。」
「はい。お先に失礼します。」
「うん。」
こうして、3日目が終わった。次の日からは、さらにハードな内容に変わる。上級封印の一つ、サークルワールドでの封印練習である。この封印術は、相手を輪の世界(サークルワールド)へと追いやってしまう物である。これは、連続使用が難しく、扱いにくい術式を使っているため、上級封印術式とされている。それの高速連続使用をするというもの。これが出来ないと、あの封印術式を使う事は出来ないのだ。
この訓練に手こずってしまって、丸1日もかかってしまったのだった。そのため、5日目はとんでもなく大変な目にあった。その後は予定通りに進み、そして最終日となった。
「今日で終わりだ。しっかりとやって行くぞ。」
「はい!」
「それじゃ、手筈通りに行くぞ。順調はいいな。」
「はい。いつでも行けます。」
「開始!」
最初は俺が術式を組む番である。1秒で組み上げ、次にシンバさんが組む。そのようにして、5組づつ交互に組み上げた。
「良し、タイムは"9.08秒"だ。まずまずという所かな。もう少し縮めないといけないな。少し休んでから2回を始めるから、少しの間でもしっかりと休め。」
「はい。…そうさせてもらいます。」
という事で、10分の休憩に入る。
「これ、かなり来ますね。」
「そりゃそうだろうよ。何たって、使用するだけでも、命が削れるんだから。」
「そうでしたね。でも、なんで大丈夫なんですか?命を削りとられているにも関わらず。」
「それは、白魂(ビャッコン)を大量に作っているからだよ。」
「白魂って?」
「白魂の事を教えていなかったな。」
「はい。」
「それじゃ、簡単に教えておこう。白魂は、魂としては何も無い、つまり白紙の様な、命として成り立たっていない、力の塊という感じの物の事。」
「つまり、この中に何かを入れれば、魂となるのですか?」
「そう。これを使ってやれば、命ある者も作れてしまう。」
「そうなんだ。」
そう言ってから、飲み物を流し込む。
「そろそろ始めましょうか?」
「そうだな。大丈夫なのか?あんまり休んではいない様だけど。」
「俺は大丈夫です。」
「そういうと思ったよ。良し、続きをやるか。」
こうして、訓練が再開された。それから5時間がたった。
「ハァ、ハァ、ハァ。流石の私も疲れたよ。きついな。」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。俺もですよ。」
「そうか。これで訓練は終わりだ。そろそろ皆を集めないと。」
シンバさんが集合をかける。
「みんないるな?えー、この1週間の間、それぞれのやるべき事をやったと思うが、良く頑張った。これから元の世界に戻る。戻ったら、それぞれが持つ役割を果たして欲しい。それが、今後の事に大きく関わって来る。しっかりとやって、来るべき災難に全力をかたむけてくれ。私からは以上だ。何か質問したい事が有るならば、今のうちに解決しとけよ。後ででは、間に合わないからな。質問が無いなら、ここを出発する。」
シンバさんは一度、見渡してから、
「無いよだから、行くぞ。忘れ物が内容にしろよ。後で大変な目に会うからな。」
こうして来た道を戻り、1週間ぶりに、正確には1時間ぶりにだが帰って来た。それから少し経ち、夏休みに入った。そして、ここから話しは最悪な展開へと向かうのだった。それは、あの闇の3帝が努力虚しく、復活してしまったのだ。さらに、余計に大変な事が起きたのだ。それは奴によって。



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